玉の城山は一気に築かれた陣城

玉の城山は、かつて太平洋戦争時代、高射砲が運び込まれるにあたって、城内への道が広げられたり、破壊されたようである。
そのため、かつてはあったと思われる大手の虎口も破壊されてしまったようで、今ははっきりしない。
大手虎口と思われる場所は今も一部堀状になっているが、先の事情からそれが当時のものかどうかは分からない。
山頂の本丸の西側には二段の腰曲輪が築かれ、そこから敵の横移動を阻む数本の縦堀が山の斜面に向かって落ちている。
また、搦め手にはかなりの深さをもった大きな堀切が設けられ、敵の侵入を阻む構造となっている。
城はまさに敵の侵入に備えて、要所のみをしっかりと押さえだけのシンプルな構造となっており、布陣を前提にして一気に作られた陣城という感じが否めない。
かつてそれ以前にこの山に城があったしても、それは山頂部を削平した程度のものであったのではなかろうか。
今に残る城は明らかに明確な意図をもって築かれていることが分かる。
(堀切から見た本丸)

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