幻の佐和山城天守閣を探し求めて

そこで、私は三成時代のこの幻の佐和山城天守閣を探し求めて、この二つの寺社に足を運んだ。
まず最初に訪れたのは彦根市から五キロほど南に位置する滋賀県犬上郡甲良町にある湖東三山の名刹西明寺である。この西明寺には江戸時代
中期に石田三成の旧臣たちにより奉納されたと伝わる大絵額があり、そこに佐和山城の天守閣が描かれているという。
私は、地図を見ながら車を飛ばし、何とか西明寺にたどり着いたが、目指す大絵額は寺の奥深くしまいこんであるのか、寺内のどこを探しても見つからなかった。
ただ、大絵額は事前に写真で見ていたが、そこに描かれている天守閣はどうみても屋根や破風の形が三成時代の城の作りとマッチせず、とても桃山時代の城を描いたとは思えなかった。どちらかというと江戸時代の城の作りを思わせた。要するに後に江戸時代の人が想像で描いたもののような気がするのである。そこでこれ以上の追及をやめて次の目的地である多賀大社に向かった。
多賀大社は西明寺のある甲良町からさらに東に三キロほどいった多賀町にある滋賀県随一の神社で「伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)と「伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)」を祭神としている。

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