外国人宣教師の見た日本の戦国時代㊵

イエズス会のキリスト教徒在地領主への軍事援助行為には二つの目的があった。
一つはぜい弱な彼らの軍事力を強化し、その政権を安定させること。
もう一つは彼らから教団への軍事的保護を得ることである。
教団は自らの身は自らの手で守るのではなく、大友宗麟や有馬晴信の軍事力が教団に還元されることを期待していた。
しかし、現実はキリスト教徒在地領主は教団からの武器提供を受けても、軍事力の立て直しができず、滅亡の危機を脱することができなかった。
その現実を見たイエズス会は戦略の転換を図るしかなかった。
それは、領主たちからの軍事的保護を見限り、自らの身は自らの手で守るということであった。
そこには、戦乱により、イエズス会の布教活動が機能不全に陥り、このままでは、宣教師、信者、コレジオ(神学校)、教会といった教団施設何より信仰生活そのものが失われ、日本におけるキリスト教世界が消滅してしまうことにつながった。
そこでは、宣教師、信者の安全確保が最優先の課題であった。

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