外国人宣教師の見た日本の戦国時代㉙

ポルトガルは武器移転によって、東インド領国を維持し、富を増大し、拡充させた武力で新たな支配地の獲得を実現させ、東インド領国でのカトリック布教を推進するためにも、武力でイエズス会の活動を保証することを目的とした。
日本においては、武器と引き換えに布教を展開して教勢の拡大をはかり、布教に友好的な領主の領内にナウ船を誘致してポルトガル商人に利益をもたらすことでポルトガルの国益をはかる目的があった。
また、日本の在地領主にはイエズス会士を介して軍事物資を入手し、富国強兵化をはかり乱世の覇者になるという政治軍事目的があった。
ポルトガルは、日本の在地領主に武器を転売することで、日本を東アジアの武器輸出市場として東インド領国の経済圏に組み込み、ポルトガル国庫の財源の一翼を担わせようとしていた。
1520年代のポルトガルはジョアン三世の軍事力増強政策を反映し、インド海域に艦船60隻を配備し、インドの沿岸には6つの砦を保有するまでになっていた。そこでは国家予算の四割が軍事費に充てられていた。
日本は間接的に、ポルトガルの東インド領国の軍事経営に組み込まれていた。
なぜなら、ポルトガルは対日貿易に携わるための「日本航海権」を特定の都市などに売却して航海を行わせ、対日貿易から上がる利益を防御施設の補強など軍事目的に充当していた。
この権利を得た司令官は、自ら用意した資本とマカオで手に入れた生糸などの商品を船に積んで長崎に入港して売却する。
その売却益から様々な手数料を徴収するのが、「日本航海権」の意味するところであった。
ポルトガル国王は、「日本航海権」の売却益でマカオを要塞化するよう命じている。

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