天秀尼の生涯

『天秀尼の生涯 豊臣家最後の姫』が先週土曜日4日に発売されました。
読みやすくを一番に考えて書いたため、ノンフィクションでもなく小説でもないというジャンル不明の作品になってしまいました。
できるだけ史実に迫り、また、時々は小説調でセリフを入れたりと一貫しない点もありますが、読んだ方からは読みやすく分かりやすいと好評です。
この作品は、北鎌倉の東慶寺の今は亡き前住職井上正道師に直接取材し、貴重なお話をたくさんお伺いし、さらには東慶寺から貴重な資料をいただくなど、東慶寺のご協力のもとに完成したもので、私自身が天秀尼の生き方に強く惹かれたこともあって思い入れの強い作品となっております。
また、今回も東慶寺のご好意で、4月30日(日)東慶寺にて出版記念の講演会を行わせていただくことになりました。
講演では出来るだけ、天秀尼の真実に迫りたいと思っております。
「宿命を使命に変える」というのが本書の主題となっておりますが、これは仏教の教えの一つで、もともと善い宿命(善業)をもった者が、悩み苦しむ衆生を救うためわざわざ悪い宿命(悪業)をもって生まれてき、最後はその使命に目覚めるというものです。
天秀尼の生涯とはまさにその教えを身で読んだとしか思えません。
秀頼の子として、生まれてきたときから母を知らず、豊臣家の滅亡に際して家康から七歳にして尼にさせられ、人並みな恋も自由も奪われた天秀尼は自らの深い宿命を嘆き、憎みます。
が、会津加藤藩から逐電し、東慶寺を頼ってきた一人の女性を命がけで救済するという事件を通して、自らが、これまで悩み苦しんできたことは、虐げられた女人を救うためであったと心の底から悟ります。
それが、まさに「宿命を使命に変えた」新たな天秀尼の誕生でした。
一人でも多くの方に是非読んでいただきたい作品です。

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