一般的にいえば、「角馬出」は敵の攻撃から虎口を防御するために設けられる。
だが、菩提山城のものは曲輪の広さに対して規模が小さすぎる。
また、馬出の堀も狭く浅い。
とても軍事的な必要性から設けられたとは思えない。
本当に本丸虎口を実用的に防御したいのなら、前面に敵を遮断する広く深い堀を掘り、周囲に土塁を伴った大きなしっかりした馬出を設けるべきであろう。
築城者はいったい何のためにそんな一見役に立ちそうにない無駄なものをわざわざ作ったのであろうか。
そのヒントの一つは、本丸前面に掘られた浅い堀は西側に縦堀となって落ちて行き、落ちた先はそのまま横堀となって本丸を南北に囲むようになっていることである。そして、この本丸を南北に囲む堀も幅が狭く浅いのである。この堀も軍事的な必要性から築かれたものではないことが分かる。
そこから考えられることは、本丸虎口の小さな角馬出と本丸を囲む小さく浅い堀は本丸を特別な空間として、他の曲輪との間に差別化をはかっているのではなかろうかということである。

(本丸虎口の角馬出前面)