正確な?「関ヶ原合戦図屏風」

関ヶ原の現場に行って思うのは、「関ヶ原合戦」に描かれた地形が今もちゃんと残っていることである。
例えば、宇喜多陣の場所、島津陣の場所などは極めて正確描かれている。
驚くのは、島津陣の切岸が赤く描かれていることだ。
これは島津陣の場所が鉄を含んだ土であったことを意味している。
まさに、実際に現場を見たものでなければ絶対に描けなかった事実であろう。
また、兵たちの戦時における行動も生き生きと細かく描かれており、大変、興味深い。
ある兵士は、戦勝の祈願を行っているのか、両手を合わせ、何かを懸命に祈っており、ある兵士は臼で殻の付いた※を脱穀している。
まさにリアルとしか言いようがない。
合戦の中に、彼らの日常があり、それは現実であったということがこの「屏風」からよく分かる。
作者はそんな日常をつぶさに観察していたのだろうか。
ただ、合戦についてはかなり省略されている。
これでは誰がどう戦ったかはまったく分からない。
しかも、勝者の視点で描かれているからなおさらである。
ここでは、石田三成方が家康を迎え撃つために築いた構えが全く描かれていない。
陣があれほど正確に描かれているのに不思議である。
意図的に無視したものか、それとも合戦そのものを描くことに目的がなかったのか。
それとも合戦を描いた屏風とはこのようなものなのか。できない
ただ、ここから合戦を推定することはできない。
それが現場を歩いた感想である。

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