関ケ原松尾山への登山

関ヶ原でもう一つ興味深いのは関ヶ原の南にある松尾山である。
松尾山は標高二百九十三メートル、それほど高い山ではない。
しかし、この山は天下分け目の関ヶ原合戦の勝敗を決めたメモリアルな歴史をもっている。
関ヶ原合戦最後の土壇場での勝敗を決めた小早川秀秋軍一万五千が布陣していたのが松尾山である。
私はかねてからその松尾山に一度登ってみたいと思っていた。
というのは、松尾山の山頂に山城の跡があると聞いていたからである。
私と一緒に最初に松尾山を登ってくれたのはFさんという地元に住む先年仕事を退職したばかりだという男性のハイカーであった。
Fさんは関ヶ原の山々を毎日歩くのが日課だという健脚のハイカーで、関ヶ原周辺の地形に精通していた。
そこで道案内をかねて一緒に登ってもらうことにしたのである。
私とFさんが知り合ったきっかけは、ひょんなことであった。
人との出会いというのは、おうおうにしてこんなものなのかもしれない。
私は松尾山に登る前に南宮山を登っていたのだが、その中腹でくたびれ果てて休んでいるときに、山を下りてきたFさんから声をかけられたのであった。
「どうしはったん。」
Fさんは私の苦しそうな姿を見て思わず声をかけてくれた。
私が「この山はきついですね。」と言うとFさんは「若いのに(若くはないのだが・・・)これくらいの山でへこたれてどうすんねん。私なんかほとんど毎日この山を登ってますわ。」と励ましとも叱咤ともいうべき言葉をかけてくれたのであった。
そこで、私が東京から関ヶ原の遺構を調べるために来たというと興味を示してくれ、「これからどこにいかはります。」と聞かれたので私が「松尾山という山に登りたい。」というと、自ら案内をかって出てくれたのであった。

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