山中にあった武田軍の一大駐屯基地（作手村城塞群）

もう３０年近く前になろうか、私は城郭研究家の中田正光先生と武田信玄、勝頼の遠江（愛知県東部）の城を追って、愛知県の山深き設楽郡作手村（現在は新城市作手）までやってきていた。
作手村は周囲を低い山々に囲まれた田園風景あふれる自然豊かな村で、恐らく、この風景は基本的には江戸時代、いや、もしかしたら、戦国の時代もそう変わってはいないのではないかと思われた。
我々がこの村にやってきたのは、村にある古宮城が信玄の重臣馬場信春の築城と伝えられ、武田の城の特徴を色濃く残していたからであった。
ちなみに、馬場信春は武田氏の城の築城に関わっていたと思われる人物で、典型的な武田流と思われる城には必ずといっていいほど、馬場信春の名が出てくるくらいである。
我々は作手村に着くとさっそく村役場を訪ね、教育委員会の斎藤さんを訪ねた。
というのは、我々ががこの村を訪ねるにあたって、事前に斎藤さんと連絡を取っていたからである。