宣教師の見た秀吉⑰

もとより、秀吉の「日本でも半分か大部分をキリシタンにさせよう」などという発言は本心ではないと思われるが、秀吉は航海士付きのポルトガルの大型軍船を明・朝鮮に攻め込むために提供させる意思を持っていたことは明らかであろう。
さらに、秀吉は明国出兵について「いまだかつて日本の君主が企てることが出来なかったことを成し遂げたい」と信長もなし得なかったことを成し遂げてそれを超えたいとの思いを明らかにしている。
また、秀吉は「明国が自分に帰服するなら占領しようとは思っていない、ただ自分に服従させたいだけだ」とも述べたという。
ここから、秀吉が目指していたものは、明の服属であったことが分かる。
秀吉は後にフィリピン総督にも服属の使者を派遣するように要求しており、ここから秀吉は東アジアの国々を服属させ、その頂点に立ちたいとの野望をもっていたことも分かる。
ポルトガルからの大型帆船提供の話が出たとき、コエリョは秀吉に九州出陣の際には九州のキリシタン大名をすべて秀吉側に付かせるよう尽力すると述べた。
もちろん、これには秀吉へのリップサービスもあったと思われるが、秀吉に宣教師たちがキリシタン大名を動員する力があることを印象付けた。
さらに、ポルトガルの大型帆船を提供するという話は宣教師たちとポルトガルの軍事的結びつきを確信させた。

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