外国人宣教師の見た日本の戦国時代56

イエズス会では、遠方の布教地に派遣されている会員と総会長ら首脳陣との精神的絆や結束の強化のために、書簡による意思の疎通の場を確保するということに主眼が置かれていた。
そこでは、異質な土地で布教を行う精神的孤立感もあり、本部と彼らとの書簡のやりとりで少しでも軽減し、彼らを鼓舞する目的もあった。しかし、同時に書簡による情報の収集という面も重視されていた。
だが、布教地の拡大と共に、そうした会員間の精神的一体化より、布教地の情報を収集して問題を分析し、それに対する解決策をローマの本部が指示するということの方に比重が移されていくことになる。
特にインドや日本などヨーロッパとは異なるやり方で活動を強いられる布教地の場合、そこでの活動の在り方がヨーロッパのキリスト教関係者の間で、無知にもとづく誤解を生むことが多かった。
そうした誤解を解消するためにも、書簡による布教状況などの報告が必然的に重要性を高めていった。
イエズス会の首脳陣が布教上や神学上の困難な問題を有効に解決するためには、常に海外布教地の現状などを書簡によって入手し、把握しておく必要があった。
そのため、「年報」などの外向け情報とは別に会員たちの職務上の書簡などに代表される、内部を対象とした「内向けの情報」の作成とその収集を迫られることとなった。

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