滝山城築城500年記念講演会より 10

千畳敷の角馬出

千畳敷は、政庁、そして客人をもてなす空間として、その目的に沿った建物が建っていたと思われる。
いわば千畳敷は城内唯一ともいえる平和な空間で軍事的要素は必要ない場でもあろう。
しかし、ここには、曲輪東側に小さめではあるが堀を伴った立派な角馬出が設けられている。
(「諸国古城図」の千畳敷東に角馬出が描かれている)

(中田正光氏作図滝山城千畳敷東にある角馬出)

平和空間の中にある軍事施設。
しかも、角馬出が向かっている方向は平和空間であるはずの千畳敷内部である。
この角馬出は、客人たちを警戒したものなのであろうか。
千畳敷から先は二の丸であり、ここには客人は入れない構造になっている。
特に、滝山城は二の丸で集中的に敵を防御する構造になっており、二の丸は軍事的機密空間であり、外部の者には絶対に見せてはならない場所である。
その意味で、客人には二の丸には絶対に行かせないという強い決意をこの角馬出に込めたとも考えられる。

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