慶長の山城 関ヶ原松尾山城4

関ヶ原における西軍の防衛体制は東軍の比ではなかった。
特に東軍にとって脅威であったのは、完備された山城松尾山城の存在であったろう。
松尾山城は関ヶ原全体を眼下に見渡せるばかりか、縄張りも巧緻で陣城としては最高レベルといってよいほどのものであった。
西軍はこの城を司令塔として、VIPを入れる予定であったものと思われる。
そう思う一つの理由は、本丸周辺の丁寧な築き方にある。
本丸は周囲を土塁で囲み、虎口は櫓門を配した枡形虎口となっている。
また、虎口の前面は角馬出を配し、実に丁寧で厳重な作りになっている。
普通の陣城は短期の使用であるためか、これほど丁寧に作る必要はない。
これは明らかに入城者を意識した作りであるとしか言いようがない。
その点でも、関ヶ原にあるもう一つの山城玉城とは築城意識が全く異なっている。
玉城が通常の陣城であり、松尾山城は特別な陣城なのである。

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