佐和山城下「聞書」の謎

彦根市の図書館の歴史は古く、大正時代初期にはもう開設していたという。
そのことから、図書館はもう九十年近い歴史をもっていることになる。
そのため、ここには、彦根に関する古い文書がたくさん所蔵されており、まだ現在でも十分な整理ができていないほどだという。
彦根市立図書館が開設された大正初期当時、図書館は市が誇る一大文化施設であった。
そこで、彦根の市民は、江戸時代を通じて自分の家に伝わってきた古文書などの貴重な古文書を積極的に図書館に寄贈し、その保存を求めたのだという。
そのとき寄贈されたたくさんの文書類が今もここにはそのまま保存されているという。
そのうちの一部は彦根市にある民間の歴史研究団体である「彦根史談会」の方たちの手により活字化されており、一般の人も読むことはできるが、まだ多くの人の目に触れていない文書も多いという。
私が探し求めていた佐和山城と城下の破壊についての「聞書」もその類である。
「聞書」はすべて民間に伝わった「民間文書」ともいうべきもので、彦根城主の井伊家から伝えられたという種類のものではないという。
まさに、彦根市立図書館は「民間文書」の宝庫であった。
しかし、考えてみれば、どうして彦根には民間資料として「聞書」が多く伝わっているのであろうか。

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