佐和山城と城下の消滅

石田会館を後にした私は、長浜から琵琶湖の湖岸道路を車で飛ばして、彦根市に向かった。
かつての彦根城内にある彦根市立図書館を訪ねるためである。
図書館には、彦根市独自の郷土資料がたくさん保管されており、ここに佐和山城破壊に関する何らかの資料があるのかどうか、確かめるためてみたく、足を伸ばしたてみたのである。
しかし、その日は土曜日の午後で、さらに学校の夏休みも重なっていたことから、図書館の中は学生や市民であふれており、座って資料をじっくり読むような場所などどこにもなかった。
だが、幸い、郷土資料が陳列してあるコーナーの前は人が少なかったので、立ち読みであったが、そこで資料を一つ一つ手にとってじっくり見ることができた。
私が欲しいと思っている資料はなかなか見当たらず、時間ばかりがいたずらに過ぎていくばかりであった。
だが、郷土資料を細かく当たっていくうちに、そのものズバリの資料はなかったものの、そのヒントになるような資料はいくつかありそうだということが分かった。
彦根市には、江戸時代にまとめられたと思われる「聞書」の類がいくつか残されており、もしかしたらそこに伝承のような形で佐和山破壊の様子が伝わっているのではないかと思ったのである。

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