上田城の金箔瓦10

二の丸北西隅の櫓台下は現在、上田市市営野球場の一塁側スタンドに使われている土塁の北端に当たるが、その近くからは後に金箔を貼った鳥衾(とりぶすま)瓦も出土している。
鳥衾瓦というのは建物の棟の両端から突き出す形で使われている長い筒状の瓦である。
鬼瓦と鳥衾瓦は屋根の隅の飾りとしてセットのものであることから、真田時代には二の丸の北西隅に金箔鬼瓦や鳥衾瓦を使うような豪華な建造物が建てられていたことは間違いない。
また、上田市市営野球場はかつての上田城の水堀をそっくり埋めて野球場にしたところで、かつてはそこにかなり大きな水堀が存在していた。
これらの事実から、真田氏が改修した上田城には二の丸の北西隅に金箔瓦を棟に上げた豪華な櫓建築の建物が大きな水堀にのぞんでそびえ立っていたことは間違いない。
水堀に映ったその姿はさぞかし美しかったことであろう。
さらに、櫓は二の丸の北西の隅だけにぽつんと一つだけ建っていたとは思えないことから、真田氏時代には二の丸内の他の櫓台にも櫓が建っていたと考えるのが自然であろう。
また、平成三年の発掘では本丸水堀の底の南西の隅と北西部より軒丸瓦が多数発見されている。

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