伊王野城2

この城の特徴はまず何といっても100メートルは続こうという切岸である。

これを見ただけでも戦意は消失しそうである。この切岸上には塀や柵が設けられ、そこから鉄砲や矢で狙われていたことであろう。
一番大きな南の曲輪は周囲を土塁が巡り、虎口は二つとも桝形虎口となっている。
前線本部として改修された部分であろう。
そこからすぐ北の曲輪に行くには土塁上を進むしかない。
そこには南隅に櫓台が設けられ、次の曲輪には大きな堀切で進めないことから木橋が設けられていたことが分かる。
ここは一つ一つの普請に細心の注意が払われている。
伊王野氏の城は尾根城に小さい曲輪を並べただけの城であったと思われるが、徳川氏によって最前線の防御が施された慶長の城に生まれ変わった貴重な遺構である。(伊王野城縄張図)(洋泉社『北の関ケ原合戦』より)

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