甲州流軍学者たちのこだわり

城絵図の作成にあたっては、軍学者自らが実際に戦国時代の城跡に赴き、実地調査をして完成させたようで「古城平山城ナリ今ハ竹林ニテ」とか「昔ハ城ノ左右深田ニテ」などの注記が所々に見える。 
彼らは、この絵図の作成を命じた藩主の意図に沿うようにていねいに城跡を探査し、そこから城の縄張り(構造)を読み解き、城絵図を完成させていったのである。
私はこの『諸国古城之図』の中にある新府城の絵図に甲州流軍学者たちのこだわりを見る。
 彼らは、新府城の跡に行き、草木を掻き分けながら堀や土塁の形状を細かく探索し、そこに残る遺構から必死に武田勝頼の築城の意図を読み取り解読しようとしたのであろうか。この絵図にはその彼らの必死の跡が読み取れる。
それは、この絵図では単に新府城だけでなく、その北方に巨大な外郭ラインが描かれているからである。

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