古宮城のリス

私が古宮城の大きな内桝形虎口の前で、何気なく上を見上げると、古い巨木の上部から一匹のリスが大きな目をこらしてじっとこちらを見ていた。恐らく、当時は滅多に人など来ないところであったのだろう。
そこに突然、二人も人がやってきて大きな声で話し始めたことから、リスは驚いて巣から顔を出して「何事か」と声のする方を見つめていたに違いない。
しかし、こちらを見つめているそのリスの顔、仕草といったら、一度見たら忘れられないほど可愛く愛くるしい。
まさにディズニーのアニメに出てくる姿そのままである。
ただ、巣の中には、子供でもいたのであろうか。
リスはそこからピクリとも動こうとはせず、いつまでもじっとこちらを見つめていた。
リスは一生懸命愛くるしい顔をこちらに向けて、実は人間から必死に巣を守っていたのかもしれない。
この古宮城の周囲は今も水田と湿地帯に囲まれていることから、当時は秀吉から水攻めを受けた備中高松城のように湿地帯の中で浮いているような城であったと思われる。
そして、城自体も周囲を堀で囲み、北側には六重の堀を設けるなど、堀を防御の主体としている。
これによって、周囲の湿地帯と堀が一体となって、強力な守りとなるのである。

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